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シンプル イズ ベスト

「シンプル イズ ベスト」は使い古された表現かもしれませんが、カイゼンで追求する姿にも通じる考え方であり、現在でもそれを否定する例はないと思います。

しかし、ヒューマンエラーに対しては、未だにどこかで懲罰的な対応が求められる雰囲気があるのか? あるいは管理者が「自分の責任です!」と言うことに美徳を感じるのか? よくわかりませんが、シンプル イズ ベストの対策ではなく、管理面や組織面での対策を打ち出そうとする傾向があります。

先日経験した事例です。

設備の巡視を行っている人が、ある計器の小さな液晶画面上の「異常」の表示を見落としました。以降、別の人も巡視していますが誰もその表示に気が付きませんでした。このエラーに対して要因分析をした結果、前面に打ち出された原因が「管理職に業務の品質を高めようとする意識が不足していた」というもの。

その背景には、液晶画面に「異常」が表示されることについて「巡視要領」に記載がなかった(教育していなかった)という要因があって、周囲から「そんなことをイチイチ教えなくても、液晶画面をしっかり確認して普段出ていない表示があったら、それを追求するのが当然だろう」という批判があったことが影響していそうです。

「当社の社員は小学生じゃないだろう」という幹部からの指摘もありました。

しかし、ヒューマンエラーには高度で複雑なエラーなんてありません。

従来の警報は、警報音とともにランプ表示が点滅するのが一般的でした。予備知識がまったくなくても、異常が発生していることには誰でも気が付きます。しかし、近年では液晶画面が多用されるようになり、今回のように小さな液晶画面に小さく表示されていては気が付きにくいものと考えられます。

勿論、巡視は機器の異常の有無を把握するために行っているのであり、常に何か起きているのではないか?という視点を持つことが理想です。また、機器の異常の見落とさないためには、機器についてその役割・機能などの理解を深めることも必要です。だからと言って、このような理想の姿になっていないことに対し、「管理職の意識が足りない」を要因に掲げ、意識改革を行うというような対策を立てれば、同じエラーはもう二度と発生しないのでしょうか?

この例であれば、警報音が鳴るようにする、液晶画面上の表示大きくし点滅させるようにするなどのハード面の対策が効果的だと考えられますが、ユーザーでそれができないのであれば、液晶画面の横に「ここに警報表示が出る」という注意書きを貼っておくだけで見落としをなくすことができるでしょう。勿論、巡視は「巡視要領」に基づいて実施することになっていますから、「巡視要領」にも記載することも必要です。

このような対策を実施することで同じエラーを二度と発生させないことがまず必要であり、その上で、このエラーの要因分析から見出された管理面や組織面の課題に向き合うことが求められるのではないでしょうか?


 
 
 

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