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千世

執筆者の写真: 代表 榎本敬二代表 榎本敬二


物語のなかでは居酒屋のシーンが何度も出てきますが、そのなかで、店名を記載したのは『粋酔』(すいすい)と『千世』(ちよ)の2軒です。どちらも私がお世話になっているお店をモデルにしていますが、『粋酔』は架空の店名であるのに対し、『千世』は勝手ながら実店舗名を使わせていただきました。それは、私たち「異業種交流安全研究会」にとって、なくてはならない存在だからです。安全研究会の勉強会の後や、私が出張等で状況した際には、情報交換会を兼ねてメンバーによる懇親会を開催しているのですが、その際に一番お世話になっているのが『千世』です。『千世』は京急線の穴守稲荷駅から徒歩数分のところにある個人経営の居酒屋です。羽田からも近いことから、パイロットなど航空関係者も利用されています。店内には、数人が座れるカウンター席と4人掛けのテーブル席が3つ、そして奥に座敷があります。

大手チェーン店の居酒屋をはじめ、大半の居酒屋の場合、2時間程度の時間制限があったり、予約の際にあらかじめ人数を伝えておく必要があります。一般的には、何時から何人で、2時間でラストオーダーというパターンが多いと思います。しかし、安全研究会の懇親会(情報交換会)は、メンバーが三々五々集まり、帰りもバラバラなことが多いのです。人数もその日の仕事次第で当日になってキャンセルが発生したり、反対に追加になることもあります。このような流動的な集まりに対応していただけるのが『千世』なのです。

物語のなかで「熊岡」として登場する方が『千世』の近くで生まれ育ち、わたくしたちはいつもその「熊岡」さんを通じて予約を入れています。安全研究会で『千世』を使い始めた頃は、先代が店主を務めておられ、ご自身が釣ってきた新鮮な江戸前の魚介を楽しみながら、議論に花を咲かせるのが常でした。現在は息子さんに代替わりし、先代はバックアップに回られていますが、息子さんになってからは日本酒(地酒)の種類も増え、日本酒好きの私には最高のお店なんです。

東京の一般的な居酒屋は、座敷は狭くて人の移動に苦労します。このため、10人程度で集まると2つから3つのグループに分かれてしまい、グループをまたいで議論することができません。「〇千円のコース」を頼んだ場合には、途中で席を移ることはしづらいし、料理を食べ終わったころにはラストオーダーになってしまいます。この点、『千世』は料理は一人ひとり別々に提供されるわけではありませんので、箸とグラスだけを持てば容易に席を移ることができますし、スペースに余裕があるときは3、4人が膝詰めで議論することもできます。勿論、時間を気にする必要もありません(ただし、当然ながら飲んだ分だけ支払いが増えます)。

私たちは『千世』のおかげで掘り下げた議論ができ、本音で話すことで、お互いのことをより深く理解することができました。そして、航空、鉄道、船舶、医療、電力など、分野が違っても同じような問題に直面して悩み、同じような課題を抱えていることがわかることで、分野や会社が違っても、ひとつの共同体であるというということが意識できたのです。

コロナ禍では、東京への出張にも制限が生じたり、WEB会議が増えたことで、その機会も減ってしまいました。勿論、懇親会にも人数制限、席の移動制限がありました。このため、コロナ禍では安全研究会の懇親会もほとんど開催することができず『千世』も3年以上ご無沙汰をしていました。

それが、今週17日、久しぶりに安全研究会の懇親会を『千世』で開催できることになりました。いまからとても楽しみにしています。

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