羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会
- 代表 榎本敬二
- 4月19日
- 読了時間: 3分
昨日(4月18日)、私が所属している「日本労働科学学会」のイブニングセッション(オンライン)が開催され、件名の委員会の座長を務められている早稲田大学理工学術院の小松原教授のお話しを聴くことができました。
テーマは『事故再発防止対策立案への考え方 ―羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会「中間とりまとめ」を例にして―』でしたが、今回のお話しは同委員会の座長として委員会を代表する立場ではなく、小松原先生個人としての意見や感想をお話しになられました。 ちなみに、この事故が起きたのは昨年の1月2日でしたが、同委員会は事故発生から約2週間後の1月19日に国土交通省によって設置され、7回の委員会を経て、昨年6月24日に「中間とりまとめ」が公表されました。
大きな事故が起きると、まずはその原因を調査し、その上で再発防止対策が検討されるというパターンが一般的だと思いますが、事故調査を運輸安全委員会が行う一方で、この検討委員会が立ち上がりました。
同委員会の目的は「令和6年1月2日に羽田空港で発生した航空機衝突事故を踏まえ、 滑走路上における航空機等の衝突防止のためのさらなる安全・安心対策をハード・ ソフト両面から検討することを目的とする。」とされており、「さらなる安全・安心対策の検討」ということになっています。
小松原先生によると、同委員会の座長を務めることが明らかになると、「事故調査が終わっていない、原因分析が終わっていないのに、対策が立てられるのか?」といった意見が多く寄せられたそうです。
そのような意見に対し、同委員会は「再発防止ではなく、滑走路上のより一層の安全を求める」こと「対策がパッチあてにならないようにする(人・技術・運用を一体で考えるなど)」ことを基本姿勢として、対策検討を進められたそうです。
私はとても素晴らしい発想であり、意義のある取り組みだと思いました。
「事故の再発防止」は墓石安全であり、リアクティブな取り組みです。一方で、今回の事故を踏まえて明らかになったり懸念されることとなったリスクに対して対策を取ることは、当該事故の直接的な再発防止にならなくても、より一層の安全を確保していくことにつながるのであり、先取り安全、プロアクティブな取り組みになります。
一例として、小松原先生は、滑走路上の衝突事故は、航空機同士の事故以外にも空港内で使用されている車両が誤って滑走路へ侵入することでも発生することを指摘されましたが、再発防止として航空機同士の衝突にフォーカスすると、車両との衝突への対策が取られないまま一件落着となってしまうかもしれません。
長くなりますので、今回はここまでとさせていただき、次回、「中間とりまとめ」で提言されている対策について、ご紹介したいと思います。
「中間とりまとめ」の概要は、こちら↓でご確認ください。
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