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執筆者の写真代表 榎本敬二

異業種交流安全研究会



異業種交流安全研究会のなりたちについては、424日のブログでご紹介させていただきました。福知山線脱線事故がきっかけとなり、20056月に「鉄道安全研究会」としてメンバー数人で発足し、その後、航空界のメンバーが参加したことにより、「航空安全研究会」と並立するかたちをとりましたが、メーリングリストを用いて議論される内容が鉄道と航空のみならず、参加するメンバーが所属するさまざまな産業に共通することが多いことから、鉄道や航空の冠を外して「安全研究会」として一本化したという経緯があります。

航空界からのメンバーが参加したきっかけの一つに「航空運航システム研究会」があります。当時、ヒューマンファクター研究の第一人者であられた黒田勲先生が会長を務めるこの研究会は、パイロット、管制官、航空自衛官など航空関係者が会員の大半を占めていましたが、医師、法学者など、航空界以外からも参加があり、毎年開催されるシンポジウムでは、航空界以外の分野かも講演者が招聘されていました。

私もこの研究会の会員ですが、ここへ参加するきっかけは、河野龍太郎さん(現:安全推進研究所代表取締役所長)からのご紹介でした。もう25年以上前のことになりますが、当時、河野さんは東京電力の原子力研究所ヒューマンファクターグループでマネジャーをされていました。同グループの藤家美奈子さん(現:JERA執行役員)が『TIPS(チップス)』という原子力発電所の運転員訓練プログラムを開発されたのですが、これは原子力版CRMとも言えそうなもので、そのことを知った私は早速、伝手を頼って藤家さんへ連絡を取り、TIPSに興味があることをお伝えしました。すると、しばらくして、藤家さんは上司である河野さんと一緒に、私が勤務している火力発電所まで来てくれたのです。これが縁となり、おふたりとの交流が始まったのですが、ある時「ヒューマンファクターに興味があるなら、航空運航システム研究会というのがあるから参加しませんか? まあ、その辺のおっさんが集まってやっている会だから気楽にどうぞ」と河野さんにお誘いいただいたのが入会のきっかけでした。

当時、発電所で交替勤務をしていた30代前半の私には、同研究会は少々格式が高いように思えましたが、実際に参加してみると同研究会のみなさんは快く私のことを受け入れてくださいました。石橋明さん(現:安全マネジメント研究所代表取締役所長)との出会いもこの研究会でした。

福知山線脱線事故の後、JR西日本はソフト・ハード両面から安全性の向上を図るべく「安全諮問委員会」を設置し、石橋さんが委員として参加されることになりました。私は、安全研究会発足の原点ともいえる、JR西日本の若手運転士たちのことを石橋さんへお話ししました。同社には、彼らのような熱意を持って会社を変えていこうとしている社員がいることをお伝えしたかったのです。

石橋さんには安全研究会にも参加いただきましたが、航空運航システム研究会で、何人かの方へ安全研究会のことをご紹介したところ、安全研究会に興味を持っていただける航空界の方が参加してくれることになりました。こうして、安全研究会のメンバーが広がっていきました。

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