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東北新幹線の列車分離(その2)

執筆者の写真: 代表 榎本敬二代表 榎本敬二

9月19日に東北新幹線古川~仙台間で発生した、走行中のはやぶさ・こまち6号の連結部が外れた事象について、26日に調査結果と今後対策が公表されました。

当該列車E5系はやぶさ号(前側)では異常は認められず、E6系こまち号(後側)を詳細に調査したところ、通常の分割併合作業に関わる回路等に異常は認められなかったものの、併合作業が完了しない場合に再度分割させるスイ ッチの端子部付近に、金属片(切屑)が発見されたとのことです。この金属片を用いて端子部に接触させる試験を実施したところ、連結器が分割する動作が再現されたことから、これが原因であると判断したようです。なお、スイッチの裏面周辺には他にも金属片も見つかったとのことです。

この金属片について、JR東日本が車両メーカーとともに調査した結果、車両の製造時に発生したものの一部が車体内部に残っていたものと推定されるとのことです。

このため、併合運転を行うE2、E3、E5、E6、E8系の全96編成について同種箇所を点検した結果、当該編成以外では分割させるスイッチの端子部付近やその近くに金属片が付着していないことが確認されましたが、E6系については、全23編成中、当該編成以外の10編成においても、スイッチの裏面周辺に金属片が見つかったとのことです。

暫定対策としては、当該のスイッチから配線を取り外して回路を無効化し、恒久対策としては連結器を分割させる回路が走行中に動作しない仕組みに見直すとのことです。

E6系の車歴表をネットで確認すると、E6系は川崎重工と日立製作所で製造されており、Z1~Z24までの24編成が製造されていますが、Z9については2022年3月16日に発生した福島県沖地震で脱線し、廃車となっていますので、これ以外の23編成が運用中です。Z1は川重と日立が一つの編成を号車を分けて製造していますから、これを除くと川重が12編成、日立が10編成となりますので、今回11編成で金属片が見つかったとすると、あくまで憶測ですが日立が製造したものである可能性が考えられます。(勿論、両社で同様の金属片混入が発生していた可能性は否めません) また、車歴表によれば、2010年から2014年の5年間にかけて両社がほぼ同時併行で製造していますから、もしも日立で製造された車両であるならば、製造初期から最終まで5年間にわたり金属片が混入し続けていた可能性が考えられます。 これは製造プロセスのどこかに金属片(切屑)が混入するか、または清掃で排除しきれない事象を伴う工程があったものと考えるのが普通だと思われます。電車の系列ごとに製造プロセスは異なるものと思いますが、E6系の製造プロセスにおいてのみ金属片が混入する工程が見過ごされていた、あるいは工程の一部が省略されていた可能性が考えられますので、その点を是非追究し、製造プロセスの改善を図っていただきたいと思います。

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