新型感染症の脅威(玩プーでお伝えしたかったこと-その2)
- 代表 榎本敬二
- 2月28日
- 読了時間: 3分

『玩プー』はほとんど売れない作品でしたが、私としては、いくつかのことを社会に問いかけたいという思いを込めてみました。その1つが、前回のブログのとおり、新型コロナのパンデミックを乗り越えた今こそ、新たな感染症への警戒を強めましょうということです。
そして、もう1つが私たちの免疫力の低下についてです。
『玩プー』の「あとがき」では、藤田紘一郎著『免疫力を正しく知って、正しく整える』から引用して、「人間の免疫力は、ここ数十年で急速に弱まりつつある」と記させていただきました。人間には進化の過程で身につけてきた自然免疫と、感染することで備わる獲得免疫がありますが、清潔で健康的に見える生活によって免疫力が低下していると言われており、衛生環境が良くなって雑菌に触れる機会が減っていることが1つの要因だと考えられています。
また、日本などの先進国で花粉症や喘息、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患の患者数が増加傾向にありますが、発展途上国ではそれほど増えていません。この違いを説明する仮説の一つが、衛生仮説と呼ばれるもので、乳幼児期の衛生環境が個体の免疫系の発達へ影響を及ぼすと考えられてきました。
現在では、この衛生仮説に加えて、感染の機会の多寡以外にも、乳幼児期の腸内細菌環境や、ディーゼル粒子の存在など、感染以外の環境要因も影響していると考えられています。 このほかにも、現代の生活習慣において、リズムの乱れ、運動不足、睡眠時間の低下、食習慣なども影響しているといわれ、この食については、農薬使用量の増加も関与していると言われています。
さらに、衛生仮説を前提とした場合には、乳幼児期の衛生環境が影響しますから、適度に不衛生な状況下に置くということはなかなかと厄介な問題です。生まれたばかりの赤ちゃんは自然免疫も獲得免疫も未熟で、自然免疫が発達し始めるのは1歳を過ぎてからと言われており、獲得免疫は一度感染して初めて得られるものなので、これも未熟です。そんな赤ちゃんの免疫力を上げているのが、胎盤や母乳を通して赤ちゃんに届く免疫成分だと言われていますから、母乳で育てられない赤ちゃんの免疫力には注意が必要です。
現代社会では免疫力を低下させる要因が溢れていますから、免疫力を高めようと思えば、生活習慣を含めて相当の努力が必要です。
一方で、ウイルスは変異を繰り返し、さまざまな耐性を持つケースがあるほか、地球温暖化(沸騰化)によって永久凍土の中に封印されていた古代のウイルスが溶け出てくる可能性が示唆されるなど、ウイルスの脅威は増すばかりです。 「新型コロナを乗り切ったから次も大丈夫!」と高をくくるのではなく、新型コロナの時の教訓を振り返り、企業や家庭における備えに反映するとともに、ウイルスの進化と並行して進化してきた人間の免疫力も高めるよう努力したいものです。
Comments