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執筆者の写真代表 榎本敬二

安全マネジメントの具体例-1(出勤時のコミュニケーション)

更新日:11月24日

「安全マネジメントのグッドプラクティス」を示すのまず最初は、出勤時です。一般的には朝から始まりますが、交替勤務などでは午後から、あるいは夜からという場合もあります。出勤時に大きな影響力を持つのが「挨拶」です。朝であれば「おはおう」「おはようございます」ですが、これをなるべく大きな声で明るく投げかけることが大切です。

午後、あるいは夜からの勤務の場合は「こんにちは」「こんばんは」となりますが、「こんばんは」を明るく発声するのはイマイチしっくりこないかもしれません。だからでしょうか、仕事が不規則な芸能界では、いつでも「おはようございます」と挨拶を交わす習慣になっています。ちなみに、コミュニケーションスキルの専門家として年300回以上のセミナー講師を務めているという箱田忠昭氏(インサイトラーニング代表)は、その著書『会話は最初の4分がすべて』のなかで、人との会話ははじめの3分33秒で決まるとして、「3・3・3の法則」を紹介しています。これは、 ・3秒=会ったとたんの第一印象(容姿や服装などの外見) ・30秒=挨拶、自己紹介、名刺交換等 ・3分=世間話、雑談

ということです。また、アメリカの心理学者レナード・ズーニンは、「初動の4分間(ザ・ファースト・フォー・ミニッツ)」という言葉を用い、相手との関係性は出会って4分間以内で決まってしまうと論じているそうです。 職場における出勤時の挨拶は、お互いが知った中ですから初めて会う相手との関係性を示した「3・3・3の法則」や「初動の4分間」とは異なるかもしれませんが、朝(出勤)一番の印象は相手に大きな影響を与えます。上司が出勤してきて、「おはようございます」と挨拶しても返答がない場合、あるいは上司が不機嫌そうに「おはよう」と言った場合などは、職場の雰囲気が一気に暗くなってしまい、その後のコミュニケーションも取りづらくなってしまうでしょう。 反対に、いつも元気な部下が、小さな声、沈んだ声で「おはようございます」と挨拶してきたら、「おや? 何かあったのかな?」と部下の異変に気が付くことができます。安全マネジメントとしては、このように部下の心身の不調の有無を確認することが大切です。 約2年前に「ラジオ体操の効果と作業前の体調チェック」という投稿をしましたが、これは『ストーリーで学ぶ安全マネジメント』のなかで、主人公の安田専一がラジオ体操を熱心に行っていたというストーリーについて補足したものです。 ラジオ体操には、身体を動かすことによる気分のリセット、転倒・転落・腰痛などの行動災害の抑止などの効果のほか、職場の仲間たちのメンタル面まで含めた健康状態が把握できるという効果があります。いつもは元気に体操をしているメンバーの動きが小さめだったり緩慢なときなどは、何か問題を抱えているはずです。 以前の投稿では、ラジオ体操のほかにも、建設業やプラントのメンテナンスを行う現場などで行われている取り組み事例として「低い平均台を渡らせる」「二人一組(バディ)になってストレッチを行う」という例を紹介しましたが、ラジオ体操はどの職場でも簡単に実践できます。

もちろん、他にもさまざまな体調チェックの方法があると思いますが、朝(出勤)一番の挨拶とラジオ体操(体調チェック)は、仕事の始まりにおける重要な安全マネジメントだと言えるでしょう。

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