ヒューマンエラー体験談2(すり替わり)
- 代表 榎本敬二

- 8月26日
- 読了時間: 3分
山荘でサウナをDIYしていることは以前に投稿させていただきました。ほぼ完成し、先日試運転を行いました。このサウナは、サウナ室内に設置した薪ストーブ(ホンマ製の時計型)に火を入れて使います。
火を入れてしばらくすると、サウナ室内に煙が広がり、樹脂が燃えるような臭いに包まれました。なんと、薪ストーブのすぐ出口の煙突あたりから煙が出ているではありませんか!
煙突のつなぎ目が緩んでいるのか?と思いましたが、そうであれば樹脂が燃えるような臭いはしないはずです。
しばらくすると、煙が少なくなり、サウナの煙突貫通部の開口がハッキリ見えるようになりました。煙の発生源は、貫通部に詰めていた断熱材だったのです。
断熱材がなぜ燃えてしまったのでしょうか?
答えは単純。「断熱材」ではなく「保温材」だったのです。
DIYの過程で、私は当初、セラミックファイバー製の断熱材を詰めましたが、その後、一部手直しをする際、一旦その詰め物を外したのですが、その時バラバラになってしまったため、別に保管してあった「断熱材」を使いました。実はそれは「断熱材」ではなく「保温材」だったわけです。
煙の原因が煙突貫通部の詰め物だと分かった瞬間、私は「しまった!」と思いましたが、薪ストーブに火を入れる前までは、私の頭の中ではその詰め物は「断熱材」だったのです。
どこで記憶がすり替わったのか分かりませんが、保温材が高温で燃えたり溶けたりすることは分かりきっていました。
記憶のすり替わりはときどき起きていると思います。 人間の記憶は、パソコンのハードディスクに保存して変化・変質することがないというガッチリしたものではなく、その記憶に関連することを想起するたびに微妙に書き換えられているそうです。これを「再構成記憶」といい、その際、脳は「今の自分にとって都合が良い情報」に変えようとするそうです。
私の場合、断熱材を外してバラバラになってしまったとき、別に保管してあるのは断熱材だ、あるいは断熱材として代用できるものだ(よって新たに購入する必要はない=自分にとって都合が良い)と記憶が書き換えられたのかもしれません。だから、開口部の詰め物をやり直す際、何の迷いもなく保温材を使ってしまったのでしょう。
一度書き換えられた記憶が元へ戻ることはほとんどないでしょう。このようなエラーを防ぐためには、どこかに書き残しておく、何度も思い出すといった対策が有効だそうですが、普段の生活では容易ではありません。
人間の記憶は書き換わるものだと理解して、自分の記憶が正しいと頑固になって意見の衝突が起きないようにしたいものですね。


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