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『玩プー』-種明かしと内容公開

執筆者の写真: 代表 榎本敬二代表 榎本敬二

このホームページの「関連図書・推薦図書」のコーナーで『玩プー』という小説を紹介しています。また、2023年5月7日のブログでも、『玩プー』がどのような小説であるかを解説しました。 さて、ここで種明かしです。 実は、この小説、作者は私です。 『ストーリーで学ぶ安全マネジメント』という小説仕立ての安全啓発本の執筆企画が出来上がりつつあるころ、「そもそも自分に小説が書けるのだろうか?」という基本的な疑問が沸き上がりました。これまで、小説はそれなりに読んできましたが、読むことと書くこととは違う次元のことです。 そんなことに悩んでいたところ、文芸社が企画する小説募集の記事が目に留まりました。ちょうどその頃、我が家ではトイプードル(ショコラという女の子)を飼い始めたばかりで、私が寝転がっているとショコラが上に乗ってきて顔を舐めてくるので、ふと「犬が顔を舐めることで新型コロナが治ったら・・・」という空想をしてしまいました。そして『ストーリーで学ぶ安全マネジメント』を書く前に、練習としてその空想を小説してみたのが『玩プー』です。出来上がった作品は文芸社へ応募しましたが、見事に落選。まあ、良い練習になった・・・と自分を慰めていたところ、出版社から「今回は落選しましたが、選考委員の若手からは評判が良かったので、自費出版しませんか?」と誘惑されてしまったのです。多分、文芸社さんの作戦なんだろうと思いつつ、自費出版という無謀な冒険をしてしまったのが4年前の10月でした。 著者名は、越百州深(こすもす・しん)にしましたが、これはコスモス=宇宙ということで、「深宇宙」を意味するペンネームにしてあります。

昨年10月で文芸社との契約が切れましたので、このたび、原稿をPDF化したものを読んでいただけるようにしました。「関連図書・推薦図書」のコーナーで『玩プー』の表紙写真をクリックしていただくと、PDF原稿が開きます。

最終原稿をPDF化しましたが、出版された本は最終原稿から校正が入っていますので、部分的に本とは違う記述になっているところがあるかもしれませんが、ご容赦ください。また、原稿は横書きでしたが、それをスマホでも読みやすいように、本と同様の縦書きに変換しましたので、本来は漢数字に直すべきところが数字のままになっている箇所があるかもしれません。

2023年5月のブログでは、次のようなことを書きました。


・世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの感染拡大は公衆衛生上緊急事態だと宣言したのは2020年1月31日のこと。あれから丸3年以上が経過して、私たちはようやく平静を取り戻しつつあり、「新型コロナを乗り切った」という達成感のようなものを味わっている方もおられるだろう。

・私たち人間は、大きな災禍・災厄を乗り越えたと思った時点で、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の諺と同じで災禍・災厄で被った苦しみを忘れてしまいがちだ。

・幸い、医療従事者の皆さんの献身的な対応に支えられ、国民一人ひとりも手堅い感染防止対策を実践したことにより、被害は最小限に留めることができたと考えられる。

・今回の新型コロナによる国内の死者数は7万4千5百人を超え、世界では692万人を超えたとされる。季節性インフルエンザでも、1シーズンの死者が2万人を超えることがあるので、3年少々で7万4千5百人は驚愕の数値ではないとも言えそうだ。

・これまで人類はウイルス感染症によって何回も大きな被害を受けてきた。1918年のスペインインフルエンザ(スペイン風邪)では約2千万人から5千万人が死亡したとされる。

・かつて、厚生労働省が新型インフルエンザ発生による日本での被害を試算したことがあるが、それは過去に発生した軽度から中度の弱毒型のケースを参考にしているものの、死者数は17万人から64万人と想定された。

・一方で、私たち人類がこれまで恐れてきたのは、高病原性鳥インフルエンザで鳥から人への感染が確認されているH5N1の人-人感染によるパンデミックだ。この新型インフルエンザがパンデミックを起こした際の被害は、厚生労働省が試算した数値をはるかに超えるものになると考えられる。

・『玩プー』はこのH5N1が特殊な変異により人-人感染によるパンデミックを引き起こしたとき、特殊な能力を持った1匹のトイプードル(名前はプー)が治療薬の開発に貢献して人類を救うというSF小説だ。

・物語の中では「BCP(事業継続計画)」の重要性についても触れている。今回の新型コロナウイルスは、初期の頃は強毒性と考えられてたが、その後の変異により毒性は下がったので、各企業などのBCPは概ね機能したものと思う。

・しかし、もう少し強毒性の期間が長く続いたら、BCPは機能しただろうか?

・国は2020年までに大企業のBCP策定率を100%、中小企業は50%に到達させることを目標にしてきたが、実績は大幅に下回ったままだ。強毒性インフルエンザ等の感染症を対象としたBCPに至っては、実効性の高いものを策定している企業は極めて少ないだろう。

・今回の新型コロナを踏まえて、強毒性に対応できるBCPへと見直しを行った企業はどれくらいあるだろうか? BCPの見直しについて議論が盛り上がっているという報道は見かけない。

・玩プーのあとがきの最後にはこう記されている。「幸い、人類にとって脅威とされる高病原性鳥インフルエンザH5N1は、鳥から人への感染は確認されているものの、人から人への感染はギリギリのところで食い止められている。しかし、〝その日“が来るのは明日のことかもしれないし、未知のウイルスによる脅威もすぐ目の前に迫っているかもしれない、確実に分かっていることは、そこにプーはいないということだ」。


『玩プー』は上記のような空想から始まったもので、物語における主役(トイプードルや高校生たち)の設定やストーリー的には、中高生ぐらいに読んでいただきたいと考えましたが、内容にはBCPとは何か?、新型感染症という危機事象への対応の在り方など、防災・減災、危機管理についても盛り込んだつもりです。

新型コロナは神様が私たち人類に鳴らしてくれた警鐘に過ぎないのかもしません。新型コロナを乗り切ったから、次に何が来てもきっと乗り越えられるさ!などと高をくくることがないよう、(神様からの警鐘にはまったく及びませんが)『玩プー』がささやかな警鐘になることを願っています。

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